2026/06/12
【D活サポーターに聞く】森の輪(もりのわ) 春日勝芳さん Part1●なぜ、きのこの会社が「ビタミンD」を掲げたのか
「ハナビラタケ」と聞いて、ビタミンDを思い浮かべる人も少しずつ増えてきました。富山県のきのこ生産会社「森の環(もりのわ)」では、高ビタミンDハナビラタケ「DDハナビラ」など、「食べるビタミンD®」シリーズを展開中。なぜ、きのこの会社がここまでビタミンDを掲げるのか。代表の春日勝芳さんに、その背景をうかがいました。

「幻のきのこ」と「不足している栄養素」が重なった
—— ハナビラタケというきのこ、どんな部分に可能性を感じたのですか?
実は、最初はハナビラタケに多く含まれるβグルカンに注目していました。
その後、「きのこ類は天日干しするとビタミンDが増える」ということを知り、ハナビラタケでも試してみたところ、他のきのこよりも生成量が群を抜いて高かったんです。
さらに人工的に紫外線を照射すると、驚くほどビタミンDが増えていたんですよ。
そこで、「これはビタミンDという切り口が活かせるかもしれない」と考えるようになりました。
—— そこから「食べるビタミンD®」へつながっていった?
そうですね。βグルカンも重要な成分ですが、すでに広く知られています。
一方で、ビタミンDは栄養機能性が高いにもかかわらず、一般的な認知がまだ十分ではありません。
ちょうどコロナ禍でビタミンDが世界的に注目され、日本人の多くが不足しているという研究結果も報じられていたときでした。
「流通量が少なく“幻のきのこ”と言われるハナビラタケ」と、「重要性が高いのに不足認識が低いビタミンD」。
この二つを結びつけることは、弊社の理念を体現する挑戦になると感じたんです。
危機感よりも、まず「正しく知ること」
—— 日本人のビタミンD不足については、どんな危機感を?
危機感を煽るよりも、まず「正しく知ってもらうこと」が大切だと思っています。
美白志向などで日光を避ける傾向が続いた結果、慢性的なビタミンD不足が起きている。
だからこそ、紫外線との付き合い方を含め、もう一度バランスよく考える必要があると思います。
—— ビタミンD不足を解消することは、並大抵ではないですよね?
日光を浴びて皮膚でつくられると言っても。なかなか現実には難しいですしね、特に女性は。
食品でいえば、ビタミンDが多いものも限られています。
「だからサプリメント」ということではなく、食べ物から取り入れるという考え方も、もっと広がっていいのではないかなと思っています。

ハナビラタケは、もりのわにとって大きな転機だった
—— ハナビラタケ自体には、以前から注目を?
はい、かなり前から知っていましたし、トライもしていました。ただ、当時はうまくいかなかったんです。
その後、改めて量産化に取り組む中でビタミンDという特性に出会った。そこから、ハナビラタケの可能性をより強く感じるようになりました。
—— ハナビラタケは、もりのわの歴史の中でどんな転機に?
きのこ業界は価格競争が激しく、エネルギーコストの高騰もあり、非常に厳しい環境が続いています。
その中で、あえてブルーオーシャンであるハナビラタケに挑戦しています。これは大きな転機。
栄養面、食味ともに大きな可能性を感じていたので、試行錯誤を重ねてきました。リスクのないところにリターンはありません。

ハナビラタケは目的ではなく、理念を実現するための手段
—— 春日さんは銀行員だったそうですが、そこから一次産業、なぜこの世界へ?
特別な動機があったわけではありません。与えられた環境で最善を尽くしてきただけです。
ただ、人生の最終章として、農業は非常に魅力的なフィールドでした。
自然を相手に自分の力を試すことができます。そこが自分には向いているかもしれません。
—— 経営理念「心ゆたかな食と地球の健康」と、ハナビラタケはどうつながっていますか?
「心ゆたかな食と地球の健康」を具現化する一つの手段が、ハナビラタケです。
ハナビラタケは目的ではなく、理念を実現するための手段なんです。

—— よく口にされる「森羅万象」という言葉も、森の環(もりのわ)の考え方につながっていますか?
きのこは未知の部分が多く、自然との関わりは人類よりはるかに古い存在です。
自然と文明の接点にある存在として、きのこづくりを通じて学ぶ契機になればと考えています。
次回は、「DDハナビラ」誕生の背景や、紫外線照射によるビタミンD生成の仕組みについて、さらに詳しくうかがいます。
▶Part2 「DDハナビラ」はどう生まれた? “食べるビタミンD®”への挑戦
■ PROFILE ■
春日 勝芳(かすが かつよし)
株式会社森の環(もりのわ) 代表取締役。長野県生まれ。地方銀行勤務を経て、大手百貨店や青果卸売会社への出向も経験。2013年に転職し、2017年より富山県に本社を置く森の環(もりのわ) 社長に就任。ハナビラタケ・きくらげなどの生産・販売を手がける。独自の紫外線照射技術を用いた「食べるビタミンD®」シリーズを展開し、“DDハナビラ”をはじめとする高ビタミンDハナビラタケの普及に取り組む。
▶公式サイト:ハナビラタケライブラリー
取材・文/蓮見 則子


