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「クララが立った!」の裏にビタミンD?!

2025/03/20

「クララが立った!」の裏にビタミンD?!

クララが立った!の影にビタミンD

クララの「病気」、その正体は?

クララが暮らしていたのは19世紀産業革命時代のフランクフルト。彼女は幼い頃から病弱で、ずっと車椅子生活でした。この時代のフランクフルトといえば、工業化が進み、大気汚染で日光すらまともに届かない環境。しかもクララはお嬢様。


基本、屋内で生活し、太陽の光を浴びることもほとんどない。つまり皮膚でビタミンDを合成する機会がほぼゼロ。結果として骨が弱くなり、筋力も低下して立ち上がれなくなる。まさに「くる病」の典型的な症状です。

「くる病」ってどんな病気? 実は今、増えていること知ってます?

「くる病」はビタミンD欠乏によって骨が柔らかくなり、脚がO脚やX脚に変形したり、筋力低下を引き起こす病気です。栄養状態が悪かった戦前や食料事情の悪かった時代に多く見られたもので、日本ではもう過去の病気とされていました。


ところが、近年の日本では、乳幼児の間で再び増加しているというのです。

その背景には以下のような要因による、ビタミンD欠乏が挙げられます。
●紫外線対策が徹底されすぎている(日焼け止めの常用や室内遊びの増加)
●外で遊ぶ時間が減っている(公園遊びよりゲームやスマホ)
●食生活の変化(魚やきのこを食べる機会が減少)
●アレルギー対策での食事制限や偏食
●完全母乳栄養の普及(現代の母乳にはビタミンDがほとんど含まれない)


母乳栄養は赤ちゃんにとって多くの利点がありますが、ビタミンDの観点からは不足しがち。そのため、小児科ではビタミンDサプリメントの補給を推奨するケースが増えてきています。


つまり、クララと同じように、現代の子どもたちもビタミンD不足になりやすい状況にあるのです。

アルプスに行ったら、歩けるようになったクララ

アルプスの少女ハイジでは、クララがハイジと一緒にアルプスの山で過ごすうちに元気になり…ついには車椅子から立ち上がります。 これは偶然? いいえ、ビタミンDの力でしょう。


太陽の光をたっぷり浴び、皮膚でビタミンDが生成されたこと、ヤギの乳やチーズでカルシウムとタンパク質をしっかり摂取できたこと、山での生活は体を動かすので自然と筋力もアップ!


これらの要因が重なれば骨と筋肉がしっかり強化されることは間違いありません。アルプスの太陽と栄養たっぷりの食事こそが、クララの特効薬だったのです。

クララのツンツンした性格、実は栄養不足のせい?

クララといえば、都会のフランクフルトにいた頃は少々ツンツンした印象。それも、もしかしたらマグネシウム不足が関係していたのかもしれないと想像できます。


ビタミンDはカルシウムだけでなく、マグネシウムの吸収もサポートします。ビタミンD欠乏でマグネシウムが足りないと、神経が興奮しやすくなってイライラが増える。都会のクララはビタミンD・マグネシウム欠乏で神経過敏気味だったとも推測できるのです。


アルプスでビタミンDとマグネシウムをしっかり補充したことで、心も穏やかになったのかもしれません。

【まとめ】

■フランクフルトでは日光不足 → ビタミンD欠乏から「くる病」に
■クララがアルプスで元気になったのは、その環境がもたらした軌跡
■アルプスでは日光を浴びてビタミンDをしっかり生成!
■ヤギの乳やチーズでカルシウムとタンパク質を補給
■自然の中で体を動かし、筋力がついた
■現代の日本でも、乳幼児に「くる病」が増加中
「クララが立った!」科学的な奇跡を、まさにいまの日本でも起こしたいものです。

監修/医師 斎藤糧三(日本機能性医学研究所/斎藤クリニック)
取材・文/蓮見則子

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