2026/04/07
【D活サポーターに聞く】整形外科医 道家孝幸さん Part2●骨折を防ぐために知っておきたい「ビタミンD不足」の現実
骨粗しょう症の予防や治療に欠かせないビタミンD。しかし実際の診療では、その重要性が十分に伝わっていない場面も少なくありません。Do-Clinic院長の道家さんが整形外科の現場で感じているリアルとともに、骨折を防ぐために知っておきたいポイントをお聞きしました。

骨の健康を支える、もうひとつの鍵「ビタミンD」
—— 骨の健康というと、カルシウムを意識する人が多い印象がありますが?
昔から骨と言えばカルシウム。気にしている方が多いですよね。
ただ、カルシウムを摂るだけでは十分ではなくて、吸収率を高めるために不可欠なのはビタミンDです。
—— その2つはセットで考えるべきですね!
はい、ビタミンDが不足しているとカルシウムをいくら摂ってもうまく吸収できず、結果として骨が弱くなってしまいます。これを理解していない人がまだまだ多いですね。
実際の診療でも、転倒しやすい方にはビタミンDの状態を意識することが多いです。
50歳を過ぎたら、骨密度とビタミンDは一度検査を!
—— 最近は骨密度検査を受ける方も増えています。
とてもよいことだと思います。特に40代以降の女性は関心が高くなってきていますね。
当院では50歳以上の女性、70歳以上の男性には保険診療の範囲で「骨粗しょう症検診」を行っています。
骨密度検査に加えて、ビタミンDの状態も確認しているんです。
具体的には
・問診(家族歴など骨折リスクを調べるため)
・骨密度検査 (DEXA 法:背骨、股関節)
・採血検査(骨の代謝状態、カルシウム・ビタミンD 血中濃度のチェックなど)
・体組成検査 (筋肉量や水分量のチェック)
・骨質評価
を含むのが当院の「骨粗しょう検診」です。
そこまでできる施設が近くにない場合は、ビタミンDと骨密度。それも難しければ、骨密度検査だけでも受けるといいですね。
—— 更年期以降の女性は、気軽に受けられる骨密度検査もよくありますね?
そうなんですが、注意が必要なのは検査の方法です。手首やかかとで測る簡易的な検査は多いのですが、あまり正確とは言えません。
骨粗しょう症の評価としては、「デキサ(DEXA)検査」で背骨と股関節の骨密度を測るのが望ましいんです。

—— でもその検査、なかなかハードルが高い印象もあります。
まだ、大きな病院でないとできないことが多いかもしれません。
でも、骨粗しょう症は実際に検査をしてみないとわからないので、まずは骨の状態を正確に知ることが大事です。
自覚症状がないから、骨粗しょう症は見過ごされやすい
—— 骨粗しょう症とわかっても、治療をしない方もいますか?
いますね。症状がないので、「大丈夫」と思ってしまう方が多いんです。 そこが難しいところ。
骨粗しょう症は進行すると骨折につながります。高齢になってからの骨折は寝たきりにもつながるので、本当に避けたいんです。
骨粗しょう症の治療と言っても、カルシウムやビタミンDを補うだけで変わるのですが、それをしないまま進んでしまうケースが少なくありません。
放置した結果、骨折してしまうとやはりもったいないなと思います。やはり治療はしてほしい。
見逃しやすい、骨折リスクのサイン
—— 骨粗しょう症のリスクは、どのように見ていますか?
まず遺伝ですね。ご両親に、特に股関節の骨折歴があるとリスクは高いです。
また、50歳以上で身長が2cm以上縮んでいる方も注意が必要です。
—— 生活習慣も関係しますか?
偏食、運動不足、若い頃からの過度なダイエットなども影響しますよ。
骨は若い時期にどれだけ作れるかが重要なので、その影響が後から出てきます。

ビタミンDを”知る”だけで将来が変わる
—— ビタミンDについて、もっと知られるべきだと感じますか?
その通りです。ビタミンDが不足している人は非常に多いので、その認知が広がることは大事だと思います。
—— それが結果的に骨粗しょう症の予防につながると?
ビタミンDを充足させることは骨粗しょう症の予防、つまり骨折予防につながると思います。
どうやって補うかまで理解してもらえれば、それが一番理想ですね。
次回は、日光・食事・サプリメントといったビタミンDの具体的な取り入れ方や、クリニックでの実践についてうかがいます。
▶Part3 ビタミンDをどう取り入れる? 現場での“リアルな選び方”
■ PROFILE ■
道家 孝幸(どうけ たかゆき)
整形外科医/Do-Clinic院長/日本整形外科学会専門医/日本骨粗鬆症学会認定医/日本体育協会公認スポーツドクター
愛知県生まれ、北海道育ち。札幌医科大学医学部卒業後、整形外科医として臨床経験を積み、肩関節を専門に診療。大学院では骨代謝を研究し学位を取得。2019年にDo-Clinicを開院。理学療法士と連携し、「運動機能の改善」を軸としたリハビリテーション診療を展開。一般整形外科、スポーツ障害、骨粗鬆症の検診・予防まで幅広く対応し、健康寿命の延伸を見据えた医療を実践中。
取材・文/蓮見則子


