2025/03/20
98%の日本人がビタミンD不足! なぜここまで深刻に?
以前から「日本人の8割近くがビタミンD不足」と言われていました。しかし、2023年に発表された東京慈恵会医科大学の調査結果は、それをはるかに上回るものでした。なんと、日本人の98%がビタミンD不足。これが意味することとは? そして、なぜこんなにも足りていないのでしょう?

ビタミンD不足率、80%から98%へ。日本人の現状
東京慈恵会医科大学の研究では、2019年4月から2020年3月の間に健康診断を受けた東京都内の男女5518人を対象に、血液中のビタミンD濃度(25(OH)D)を測定しました。
すると、日本整形外科学会と日本代謝内分泌学会が推奨する充足レベル(30ng/mL)に達していたのは、わずか2%。つまり「98%の人がビタミンD不足か欠乏状態にある」という驚きの結果に!
この研究の詳細は、The Journal of Nutrition誌 Volume 153, Issue 4, p1253 に掲載されています。
ビタミンD不足の主な原因
1)紫外線対策が徹底されすぎている
「日焼けは肌の大敵!」という意識が強まり、紫外線対策を徹底する人が増えました。日焼け止め、帽子、日傘、長袖、紫外線よけアームカバーまで、紫外線を浴びる機会が減ったことで、皮膚でのビタミンD合成が大幅に低下しています。
2)リモートワークの普及で屋外にいる時間が激減
現代のライフスタイルは、室内での活動が中心。特にコロナ禍以降はリモートワークの普及で、通勤すらしなくなり、屋外に出る機会が激減しました。特に都市部では、ビルに囲まれて十分な日光を浴びることができないことも影響しています。
3)そもそも食事で十分に補うことは難しい
ビタミンDを含む食品(魚やきのこ類)はあるものの、通常の食生活では必要量を満たすのが難しいのが現実。さらに、食の欧米化が進み、ビタミンDを多く含む和食が減っていることも原因の一つと考えられます。
【まとめ】
■日本人の98%がビタミンD不足という衝撃のデータ
■紫外線をガードするあまり、日光を浴びる機会が減っている
■室内中心のライフスタイルで、自然なビタミンD合成が難しい
■普通の食事からだけでは十分に摂れず、補給が必要
知らないうちにビタミンD不足に陥っている人がほとんど。まずは自分が足りているのか、チェックしてみることも大切です。
監修/医師 斎藤糧三(日本機能性医学研究所/斎藤クリニック)
取材・文/蓮見則子